アキノエノコログサ
この時期、うちの近所で最もよく見かけるイネ科植物は「ねこじゃらし系(エノコログサ)」です。
「ねこじゃらし」で思い出す事といえば、小学生のころ、虫嫌いの女子に向かって男子が「ほれ、毛虫だぞ〜!!」などと、無意味(?)に楽しく利用されていたことでしょうか・・・・。今の小学生もそういう使い方するのかな・・・。
近所で「ねこじゃらし系」植物を採ってきて、「さて、これは何かしら・・・」と図鑑を見ると、なんと近縁種なども結構あって種判別は意外と難しそう。
「ねこじゃらし」って一種じゃないのね・・・^^;。
エノコログサにはアキノエノコログサという近縁種があって、下の表にあるように葉の表面の毛や穂の特徴で分けられるようです。
エノコログサ | アキノエノコログサ | |
---|---|---|
葉の表面 | 無毛 | うぶ毛が密生 |
穂 | 3-7cm(直立) | 10-20cm(頭が垂れさがる) |
葉の表面にうぶ毛があるかないかで種判別ができるということなので、葉の表面をよく見てみると、うぶ毛が密生していました。
このことから、今回見つけたものは、アキノエノコログサだということがわかりました。
- 和名 アキノエノコログサ
- 学名 Setaria faberi(イネ科エノコログサ属)
- 開花時期 7-10月
- 自生場所 全国の畑地、道端、庭など
- 丈 40-160cm
- 類似種 エノコログサ(Setaria viridis)
- メモ
エノコログサの仲間には他にもいろんな種類があるので、また改めて紹介したいと思います。
アキノエノコログサをプクとモリに試食してもらいました。
アキノエノコログサの
プク&モリ評価 ★★★★☆(4点)
穂を残していたので、1点マイナスの4点にしてみました。
葉と茎は大好きなので、たくさん採れるこの時期、週末にでも採ってきてあげようと思います。
イヌビエ(イネ科ヒエ属)
JAの野菜直販所の近くの空き地のイネ科植物パラダイスにあった植物を少しずつ紹介していこうと思います(空き地発見の記事はこちら)。
イヌビエは少し前まで、日本人がよく食べていた「ヒエ(写真リンク)」の元となっている植物です(イヌビエを栽培化してヒエに)。ということは、少々まずいのでしょうが、人間もイヌビエを食べられるんでしょうね^^。
飢饉が来たときのためにも、栄養がある野草を抑えておくとなんだか安心(?)です。
最近はヒエは健康食品として注目されています(リンク)。
私が小鳥を飼っていたときに、鳥のエサの「ヒエ」をつまんだ経験がありますが、ちょっと粉っぽかった記憶があります^^;。動物にあげているエサを自分でも試してしまうクセは昔からあったようです。
今回見つけたのは、丈1mほど。全体の丈からすると、穂はかなり小さく感じる。
穂のアップ。開花中のため、葯や柱頭が小穂から出ていた。穂は全体的に緑色に見えるが、小穂の先が紫色になっている。芒(穂の先から出ているヒゲのようなもの)の長さは2mm程度。
家に持ち帰り、穂にピントを合わせて撮影した。拡大してみると、少し黄みがかった葯と赤みがかったふさふさした柱頭が小穂から出ているのがよくわかる。
- 和名 イヌビエ(イネ科ヒエ属)
- 学名 Echinochloa crus-galli var. crus-galli
- 開花時期 7-9月
- 自生場所 全国の畑地、空き地など
- 丈 60−120cm
- 類似種(亜種)タイヌビエ、ヒメタイヌビエ、ケイヌビエ、ヒメイヌビエ
- メモ 私たち日本人が長年主食としてきたヒエ(Echinochloa esculenta)はイヌビエを栽培化したもの。
イヌビエには、他に4つの亜種があります。5つの亜種の特徴を表にしてみました。
亜種名(学名) | 穂の色 | 芒[のぎ]の長さ |
---|---|---|
タイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. oryzicola) | 淡緑色 | 3-10mm |
ヒメタイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. kasaharae) | 濃緑色 | 0.5-1mm |
ケイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. echinata) | 赤紫色 | 10-35mm |
イヌビエ(Echinochloa crus-galli var. crus-galli) | 紫褐色 | 1-5mm |
ヒメイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. praticola) | 緑〜淡紫褐色 | 芒はない |
今回観察したものは、穂が紫がかっていたことと、芒が短いことから、「イヌビエ」で間違いないと思います。
この中で一番衝撃的な形状をしているのは「ケイヌビエ」でした。とにかく、毛深いです・・・・こんなに毛を生やしてどうするつもりなんだろう・・・(写真リンク)。
ヒエの先祖であるイヌビエ。モルモットにとっても美味しいのではないでしょうか。期待を込めてプクとモリに味見をしてもらいました。
(葉はもちろん、茎や穂も相当美味しいらしく完全に食べてくれました)
イヌビエの
プク&モリ評価 ★★★★★(5点満点)
出ました5点満点。
あまりに美味しそうになので、私もちょっと味見を。
・・・・・。青臭いのみ・・・。やはり、人間には生だと、口に合わないのかしら^^;。
じとーっとした視線
最近、休日の朝はJAの農産物直売所に行くことが私の中で流行っています。
今日もJAで買い物を済ませ、帰りに何気なく直売所の隣の空き地を見ると、そこは見事なイネ科植物パラダイスでした。
このような状況をみすみす逃せるような私ではなく、JAの買い物袋を提げたまま、野草パラダイスに突入。
なんと、新しい種類のイネ科がたくさん生えているではありませんか。
なんか、タナボタな気分だわ。
そして、愛用のマイ鎌で目ぼしい植物をモルモットたちのお土産に持って帰ってきました。
イネ科植物であっても、与える時に注意が必要な種が混ざっているかもしれないので(イネ科では滅多にないですが)、私は、とりあえず植物種の同定を先にやるようにしています。
つまり、プクとモリは、目の前に美味しそうな野草がありながら、すぐには食べれない事がよくあります。
今日もとりあえず、採ってきた野草を与えずにいると、モリが猛烈に見てきました。
なんでしょう、この「家政婦は見た!」みたいな雰囲気は。
たぶん、私に早く植物同定を終わらせるように、プレッシャーをかけているんでしょう。
焦る・・・。
ノゲイヌムギ(イネ科スズメノチャヒキ属)
ヤクナガイヌムギの記事をアップしようと思いながら情報を整理せずにおいていたら、周りではすっかりイヌムギの季節が終わってしまいました。今の時期、かろうじて残っているイヌムギは、穂が茶色に枯れてしまったものしか見当たりません。
ちょっと、季節外れになってしまいましたが、写真も残っているし、簡単に書き留めておこうと思います。
以前、ヤクナガイヌムギを紹介させていただきましたが(記事はこちら)、今回はそれの近縁種である「ノゲイヌムギ」をご紹介します。
- 和名 ノゲイヌムギ
- 学名 Bromus carinatus(イネ科スズメノチャヒキ属)
- 類似種 イヌムギ(小穂が立体的で芒がほとんどない)・ヤクナガイヌムギ(小穂が立体的)
- 開花時期 4−7月
- 自生場所 全国の道ばた、草地、空き地
- 丈 80−150cm
- メモ 北米から輸入された外来種。牧草用のために輸入されたらしい。
ノゲイヌムギのプク&モリ評価
★★★★☆(4点)
イヌムギ類はすべて美味しいようです。
さすが牧草として輸入されただけあります。でも、写真は撮り損ねました・・・。
ですので、ちょっと早起きして仕事前にプク&モリと朝から少しだけまったりしたときの写真を。
セイバンモロコシ(イネ科モロコシ属)
今の時期最もよく見かけるイネ科植物は下の写真のセイバンモロコシなんじゃないかと思います。
牧草として輸入された植物で、牧草名は「ジョンソン・グラス」です。
セイバンモロコシは名前からも分かるようにトウモロコシと近い種類です。円錐型の穂もトウモロコシの穂の形と同じです。
(セイバンモロコシの群生:丈は150cm。大きいものだと2m以上になるらしい)
(セイバンモロコシの穂:穂だけで30cm以上あります)
- 和名 セイバンモロコシ(別名:ジョンソン・グラス)
- 学名 Sorghum halepens(イネ科モロコシ属)
- 類似種 ノギナシセイバンモロコシ(ヒメモロコシ)
- 開花時期 5−11月
- 自生場所 全国の道ばた、草地、空き地
- 丈 100−200cm
- メモ アフリカ原産で牧草用に輸入され、戦後に野生化。
類似種にノギナシセイバンモロコシ(ヒメモロコシ)がありますが、小穂の先に芒[のぎ]があればセイバンモロコシで、無い場合はノギナシセイバンモロコシなので、判別は比較的簡単です。
(穂をアップで見ると、芒がでています。開花している穂からは、約や柱頭などが出る)
種判別のために家に持ち帰ってきたら2匹とも大興奮で、すごく食べたそうにしていました。
牧草として輸入されたくらいなので、味は美味しいのでしょうけど、若い葉には青酸が含まれ、家畜が中毒を起こす事が稀にあるらしいので、大事をとってセイバンモロコシはプク&モリに食べてもらうのを控えました。
ちなみにセイバンモロコシだけでなくトウモロコシを含むモロコシ属の葉には有害な物質が含まれていることがあるらしいので注意が必要だなと思いました。
モロコシ属のいくつかの種は、成長の初期にシアン化水素、ホルデニン、硝酸塩などの有毒物質を致死量含むことがあるので注意が必要である。さらに成長した個体でも、ストレスを受けるとかなりの量のシアン化物を作ることがある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%82%B7%E5%B1%9E
とういわけセイバンモロコシのプク&モリ評価は今回は無しです。
(不服そうなプク&モリ)
プク:「今日は味見なしか・・・。つまらん」
ヒエガエリ(イネ科ヒエガエリ属)
都内でプクと散歩をしていたら、なんてことのないジャリを敷いた駐車場の隅にイネ科植物を見つけました。
ヒエガエリと思われます。
(ヒエガエリの群生:丈は20cmくらい。大きさ比較のためプクに協力してもらっちゃいました)
- 和名 ヒエガエリ
- 学名 Polypogon fugax(イネ科ヒエガエリ属)
- 開花時期 5-8月
- 自生場所 全国の道端、空き地など
- 丈 20−40cm
- 類似種 ハマヒエガエリ
- 特徴 小穂が小さく2mm程度で、非常に多数を密生。穂に細くて長い芒がある。
ヒエガリに似ているのは日本ではハマヒエガリくらいのようです。その違いを調べるために、また検索表を使いました(リンク)。
穂についている毛のような芒[のぎ]の長さでだいたい区別できるようです。
名前 | 芒の長さ | 生育地 |
---|---|---|
ヒエガエリ | 1.5-2mm | 海岸付近に多い |
ハマヒエガエリ | 6-10mm | 日当たりの良い場所 |
穂をよ〜く見ると、芒[のぎ]の長さはせいぜい2mm程度って感じだったので、ヒエガエリで間違いなさそう。
プク&モリ評価
不明
安全そうな場所に生えているヒエガエリを今年は見つけていないので、まだプク&モリに与えたことがありません。
新鮮そうな群生を見つけたら、食べさせてみたいと思います。
スズメノチャヒキ(イネ科スズメノチャヒキ属)
スズメノチャヒキを、職場の裏庭で発見しました。
パッと見は以前紹介したカラスムギに似ていますが(カラスムギの記事)、穂を拡大して見るとイヌムギの穂に似ています(イヌムギの記事)。
(スズメノチャヒキの群生:丈は40cmくらい。周りに丈が同じくらいの他の植物が生えていて上の方の穂しか見えていません)
(スズメノチャヒキの穂:小穂一つ一つをよく見るとイヌムギの穂に似ています。穂が垂れ下がる感じはカラスムギに似ています)
- 和名 スズメノチャヒキ
- 学名 Bromus japonicus(イネ科スズメノチャヒキ属)
- 開花時期 5-7月
- 自生場所 全国の道端、空き地など.特に日当たりの良い場所に生える
- 丈 30−50cm
- 類似種 コスズメノチャヒキ、ウマノチャヒキ
- 特徴 芒は約0.8-1.2cmと長い
- メモ 南アメリカ原産。
穂の先の芒[のぎ]の長さでメジャーな種はだいたい絞れるので表にしてみました。
名前 | 芒[のぎ]の長さ | 写真リンク |
---|---|---|
コスズメノチャヒキ | 1mm以下 | |
スズメノチャヒキ | 8-12mm | http://homepage.mac.com/n_yoshiyuki/hana/suzumenotyahiki.html |
ウマノチャヒキ | 12-15mm | http://koedokawagoe.web.infoseek.co.jp/pho1062.html |
ヒゲナガスズメノチャヒキ(オオスズメノチャヒキ) | 30-50mm | http://plantdb.ipc.miyakyo-u.ac.jp/php/view.php?plant_id=1662 |
しかし、マイナーな種なども含めると類似種が多くあるので、検索表を使いました(リンク)。
検索表を使って、確信を持てました。これは普通のスズメノチャヒキで間違いないでしょう。
では、そろそろプク&モリの試食タイムへ。
このスズメノチャヒキ属はオーツヘイやイヌムギなどの牧草用植物を多く含む属なので、このスズメノチャヒキも期待できそう。
(ちょっと高飛車顔のモリさん。)
モリ:「sayuri,またこれ頼むわね」
大満足の2匹でした。
プク&モリ評価
★★★★★(5点満点)
出ました満点!!
穂も茎も葉も大好きな感じでした。
やはり、オーツヘイやイヌムギを含むスズメノチャヒキ属はおいしい種が多いのかしら。