ナギナタガヤ(イネ科ナギナタガヤ属)

うちのお向いの空き地一面にナギナタガヤらしき植物が生えていた。背が低く、葉も茎も細くてやわらかい感じ、これはナギナタガヤ類よね。



ナギナタガヤの群生:下の方に写っているツブツブはヒメコバンソウ


ナギナタガヤの穂のアップ)

  • 和名     ナギナタガヤ [別名:ネズミノシッポ][英名:rat's tail]
  • 学名     Vulpia myuros(イネ科ナギナタガヤ属)
  • 開花時期   5-6月
  • 自生場所   全国の道端、空き地など(特に海辺や河原に多い)
  • 丈      30−50cm
  • 類似種    オオナギナタガヤ、ムラサキナギナタガヤ、イヌナギナタガヤ
  • 特徴     芒は約1.5cmと長い
  • メモ     地中海沿岸原産。

このナギナタガヤは「ナギナタガヤ草生法」で注目されている植物です(リンク)
ナギナタガヤ草生法」というのは、果樹園などの雑草を除草剤などを使わずに、ナギナタガヤを植えて日光を遮ることによって雑草を排除する方法です。

研究室の後輩のA君も、農業試験場で「ナギナタガヤ草生法」の効果的な使い方を研究しているらしい。




実は、ナギナタガヤ属には、

という判別が結構難しい近縁種があるようです。



いくつかのチェックすべきポイントによって判別できそうです(詳しくは、こちら)。

名前 穂がついている柄の長さ 芒[のぎ]の長さ 護穎の縁
ナギナタガヤ 短い 10-15mm 無毛
オオナギナタガヤ 短い 10-15mm 上部に長毛
ムラサキナギナタガヤ 長い 3-7mm 無毛
イヌナギナタガヤ 長い 10-15mm 無毛


1.芒[のぎ]

今回採集した植物は、0.9〜1.5cmほどの長い芒が有ったので、ナギナタガヤ、オオナギナタガヤ、イヌナギナタガヤのどれか。



2.穂がついている柄の長さ
今回採集した植物は、穂がついている柄の部分が短く、葉にくるまれた感じでほとんど外に出ていなかった。ので、イヌナギナタは排除されて、ナギナタガヤかオオナギナタガヤかのどちらかということになる。




3.護頴(外花頴)の縁に毛があるかどうか

今回採ってきた植物の小穂の護頴をルーペで見ると、毛が生えていなかったのでオオナギナタガヤ以外。
あと、護頴の毛のイラストはこちらのページにありました(図1です)。

北米の原産と言われ,日本では本州西部,四国,九州にまれにみられる1年草で,高さ30-60cmになる。最近,種苗会社で,「ナギナタガヤ」として売られているものはオオナギナタガヤである。

http://bio.kpu.ac.jp/pomlab/VulpiaMyurosJ.htm

ということで、今回採集した植物は、ナギナタガヤということになりました。



ちなみに、古い図鑑によると、ナギナタガヤはウシノケグサ属(Fustuca)に入れられていた。
現在では、ナギナタガヤ属という独立した属を与えられたようだ。ウシノケグサ属とナギナタガヤ属は結構近いってことなんだろうな。穂の付き方も似てるといえば似てる。



(手前のほうに写っているナギナタガヤ群生は、すでに枯れて白くなり、倒れてきています。こういうふうに倒れて、土壌表面を覆うので、他の雑草が生えなくなるらしい)



恒例のプク&モリさん試食タイムです。


(興味深々で食べ始める2匹)



(モリさんは特に気に入った様子で、10本くらい一気に食べています)



(中盤、ピッチが落ちてきたモリさん。穏やかに食べ続けているプク。)



(終盤になると、モリは全く興味を失い、寝始めました)

ナギナタガヤ
プク評価=4点
モリ評価=2点

という感じだったので真ん中をとって
★★★☆☆(3点)

にしてみました。

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シマスズメノヒエ(イネ科スズメノヒエ属)

職場の研究室の裏庭(ただの草地!?)に穂の形がちょっとグロいシマスズメノヒエを発見しました。
今の時期が出初めだと思います。




(シマスズメノヒエの群生:丈は60cmくらい。研究室裏は草ボーボー・・・)





(シマスズメノヒエの穂:独特の形、そして穂の中央には紫色のライン)

  • 和名     シマスズメノヒエ(別名 ダリスグラス)
  • 学名     Paspalum dilatatum(イネ科シマスズメノヒエ属)
  • 開花時期   6-10月
  • 自生場所   全国の道端、空き地など
  • 丈      40−80cm
  • 類似種    スズメノヒエ、キシュウスズメノヒエ、アメリカスズメノヒエ、タイスズメノヒエなど    
  • メモ     北アメリカ原産。牧草として輸入し、戦後、急速に野生化。太平洋側の暖地に特に多い。

スズメノヒエ属は世界の熱帯から暖帯を中心に約200種を含むイネ科の中では大きな属です。
日本においても類似種が結構たくさんあります。




アメリカスズメノヒエは花序の形が特徴的で二又か三又になるし(写真リンクはこちら)



タチスズメノヒエは花茎の枝が10−20本もあるので、違うな(写真リンク1その2




私が特にまよった3種の特徴を表にしてみました。

名前 穂の形 葯と柱頭の色 穂の付け根の毛 葉の裏の毛
シマスズメノヒエ とがる 両方黒紫色 長い軟毛が生える 無毛
スズメノヒエ 丸い 葯=黄色、柱頭=黒紫 なし 軟毛が密生
キシュウスズメノヒエ さらにとがる 両方黒紫色 なし

(今回採集してきたものは穂の付け根には長い毛があり)






(葯と柱頭の両方が紫色:柱頭はフワフワの毛のようなものが生えている方)






以上のようなわかり易いヒントと穂の形からしてもシマスズメノヒエに間違いないかなという感じでした。
今回採集した他にも類似種を見つけたら、徐々に記事にしていけたらいいなぁ。とにかく、穂が結構面白い形なので私としてはツボな属です。





このシマスズメノヒエ(ダリスグラス)は牧草としても有名みたいです。
てことは、美味しいのでしょうね。


プク&モリの試食タイムです。

(すごい人気です。しかし、この穂の色合いといい質感といい・・・ちょっとグロいかも)


(穂からは黒紫色の葯やら柱頭やらがはみ出ていますが、まったく気にしない2匹。この見た目、平気なんだ・・・!?)


(穂をすごい勢いで折り食べするモリさん。そんなにおいしいんだ?)


(テンション上がりまくりで、動きがおかしいプクさん。それは喜びの踊り!?)


(太めの茎だって取り合いになるくらい好きみたいです)




モリ:「美味し〜い。これ大好き!」


というわけで、
シマスズメノヒエのプク&モリ評価
★★★★★(5点満点)

久しぶりに出ました5点満点!!

とても好きみたいで、ものすごい速さで茎まで完食しました。
今度また採ってきてあげるからね。

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ヒメコバンソウ(イネ科コバンソウ属)

一番近い図書館の植木があるのですが、その下草の中にヒメコバンソウがたくさん生えていました。
あまりに小さくて気づいていませんでした(汗)。


(ヒメコバンソウ群生:丈は10cmくらいで、右に写っているクローバーよりちょっと高いくらい)



(ヒメコバンソウ穂のアップ:ひとつの穂の大きさは5mmくらいでとても小さい)

  • 和名     ヒメコバンソウ [別名:スズガヤ]
  • 学名     Briza minor(イネ科コバンソウ属)
  • 開花時期   5-7月
  • 自生場所   全国の道端、空き地など
  • 丈      10−60cm
  • 類似種    コバンソウ(ヒメコバンソウよりもかなり大型なので簡単に区別できる)
  • 特徴     ひと株に数十個のたくさんの穂をつけ、繊細でかわいい見た目。
  • メモ     ヨーロッパ原産。鑑賞用に輸入されたものが各地で野生化。

ヒメコバンソウはじっと見ればかわいらしいですが、サイズも小さく、穂が細かいので地面に近づかないと見つけ難いと思います。
ヒメコバンソウに似ている植物はコバンソウくらいですが、大きさが全然違うので簡単に区別できます。
はぁ〜、すっきり種判別ができるイネ科って少ないので、こういうのを見つけると嬉しいわぁ〜。





では、プク&モリさんに味見をしていただきましょう。
コバンソウの時はモリさんは穂を怖がって食べませんでしたが(コバンソウの過去の記事はこちら)、今回のヒメコンバンソウは大幅にサイズダウンした穂なので、ムシっぽくないかな!?



(おぉ!全然怖がらずに2匹とも猛アタック!!ヒメコバンソウの穂の大きさが本当に小さいのがモルモットと一緒だと際立ちます)



(全然へっちゃらでヒメコバンソウの穂を食すモリさん。必死すぎて変顔になってるし・・・)

モリ:「この穂なら私、怖くないわ」


ヒメコバンソウのプク&モリ評価
★★★☆☆(3点)

葉は好きですが、穂に関しては、食いつきは良いですが、ちょっとで満足するようでした。

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カニツリグサ(イネ科カニツリグサ属)

近所のあぜ道付近でカニツリグサを見つけました。その他にも、結構どこにでも今の時期ちらほら見かけます。
まだ、大きな群生は見たことがありません。


カニツリグサの群生:丈は40cmくらい。穂が金茶色に光っていて綺麗です。穂の毛が長いのでふんわりして見えます)


カニツリグサの穂)


(小穂のアップ:芒[のぎ]は長い:途中でねじれている)



(穂のアップ:穂が熟すとさらに芒がねじれているのがわかりやすい)






カニツリグサ(リンク)の葉は10-20cmの線形ですが、茎に付いている葉はすごく小さく短いです。





  • 和名     カニツリグサ
  • 学名     Trisetum bifidum(イネ科カニツリグサ属)
  • 開花時期   5,6月
  • 自生場所   全国の道端、空き地、草地など
  • 丈      40−70cm
  • 特徴     穂は垂れ下がり気味で、金茶色っぽい色。穂の芒[のぎ]は長く、密なので毛深い穂に見えます。
  • メモ     この穂を使って、子供が沢蟹を釣って遊んでいたことから付いた名前。本当に釣れるかどうかはまだ試していません。

プク&モリ評価
★★★☆☆(3点)

イネ科植物の葉と茎はどれもこれも大好きな2匹ですが、穂の好みは結構分かれるようです。
カニツリグサの穂は毛深いからか、あまりお好みでない感じでした。でも、1匹2穂くらいなら喜んで食べます。

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イヌハコベ(ナデシコ科ハコベ属)

プクと公園に散歩に行ったとき、公園の木の根元にハコベを見つけました。


しかし、このハコベ、何か色味がダーク。
茎が紫がかっているし、ハコベ特有の白い花も全くありません(ハコベの白い花写真)



調べてみると、街中で見かけるハコベには以下の類似種3種類があるらしい。

簡単に見分けるにはどういうポイントがあるかというと、



1.茎の色

ハコベ=緑
○コハコベ=紫になる傾向あり
○イヌハコベ=紫になる傾向あり

今回のは完全に紫なので、コハコベかイヌハコベでしょう





2.花びらの有無

ハコベ=白い花を付けることが多い。花びら(花弁)は5枚。時々、無花弁化する(花びらが見えなくなる)。
●コハコベ=白い花を付けることが多い。花びら(花弁)は5枚。
○イヌハコベ=花びら(花弁)は全くなし




今回の植物は全く花びらをつけていないので、イヌハコベに決定かな。

さらに、イヌハコベだけが、がくの根元が紫色になるそうですが、
拡大すると、紫色でした。

やはりイヌハコベさんでしたか。

  • 和名     イヌハコベ
  • 学名     Stellaria oallida(イネ科カニツリグサ属)
  • 開花時期   一年中
  • 自生場所   全国の道端、空き地、公園など
  • 丈      10−20cm
  • 特徴     がくの根元が紫色で、花弁(花びら)がない
  • メモ     ヨーロッパ原産の外来植物。1978年に千葉県船橋市で発見されて以来、市街地のアスファルトの隙間や公園などで急増中。

プク&モリ評価
★★★☆☆(3点)

結構好きです。

(ビクつきながらもイヌハコベを食べるプク)

シナダレスズメガヤ(イネ科スズメガヤ属)

先週末、G君と家の近くの線路沿いを歩いていたら、その斜面に気になるイネ科雑草が生えていた。



私が写真を撮っていると(G君はモリを抱っこしていたので、ポケっとしていました)、通りがかった犬を連れたおじさんがG君に話しかけている。

(モリを抱っこして、ポケっとしているG君)


そのおじさんは地元の方らしく、G君と植物の事を話している。


「15年くらい前に、この斜面(私が写真を撮っていたところ)には土が流れないように外来種の植物を何種類か植えたんだよ。オーチャードグラスやウィーピング・ラブグラス、トールフェスクなんかをね」


「これは、ウィーピング・ラブグラスってやつだよ。和名はちょっと分からないけど」

と私が写真を撮っていた植物についても教えてくれた。


(私が撮っていた植物:ウィーピング・ラブグラスの群生。まだ花序が完全には展開していません)


(花序が展開した群生)




家に戻って、いろいろ調べていみると、この植物はおじさんが言っていたとおりウィーピング・ラブグラス(シナダレスズメガヤ)という外来種だということがわかった。


(シナダレスズメガヤの穂:まだ若い穂なので開いていない)



(これは、もう少し成熟した穂。ちょっと開きかかっていて。これがもっと開くと穂がシナダレているように見える)


(完全に成熟した穂)

  • 和名     シナダレスズメガヤ(ウィーピング・ラブグラス)[別名:セイタカカゼクサ]
  • 学名     Eragrostis curvula(イネ科スズメガヤ属)
  • 開花時期   7〜9月
  • 自生場所   全国の道端、空き地、斜面など
  • 丈      60−120cm
  • 特徴     先はやや垂れ、紫色を帯びた穂を多数つける
  • メモ     南アフリカ原産。1959年に導入され、高速道路、がけ、斜面での土砂崩れ防止に利用されている。

シナダレスズメガヤは乾燥に強いらしい。

斜面に植えられるときは、複数の種類を混合して植えられることが一般的であるという。特に、オニウシノケグサと混合して植えられた場合、乾燥する悪い土地ではシナダレスズメガヤが、肥沃な土地ではオニウシノケグサが優勢となるそうだ


たしかに、近くにオニウシノケグサも生えている〜。どちらも同じぐらいの数だったので、土地としては特に良くも悪くもないってことかな。

美味しそうなところを2本ほど家に持ち帰って、プク&モリに味見してもらいました。
イネ科なので当然のごとく葉と茎はモリモリ美味しそうに食べますが、穂はあまり好きではなさそうでした。

プク&モリ評価
★★☆☆☆(2点)

アオカモジグサ(イネ科カモジグサ属)

先週末に近所の生牧草パラダイスにアオカモジグサを見つけました(牧草パラダイスの記事はこちら)

(アオカモジグサ群生、丈は70cmくらい)

  • 和名     アオカモジグサ
  • 学名     Agropyron ciliare var. minus (イネ科カモジグサ属)
  • 類似種    カモジグサ
  • 開花時期   5〜7月
  • 自生場所   全国の道端、空き地など
  • 丈      40−100cm
  • 特徴     穂全体が緑色。芒[のぎ]は乾くと外側に折れ曲がる。

図鑑によると、カモジグサの名前の由来は、子供が若葉を人形の「かもじ」にして遊んだことによるらしい。
かもじってなんだ???と思ってネット検索。

髢(かもじ・髪文字)とは、髪を結ったり垂らしたり場合に地毛の足りない部分を補うための添え髪・義髪のこと。今日では、日本の女性がいわゆる日本髪を結う際に用いることが多い。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%A2

要するに、エクステのこと。

(アオカモジグサの穂)
たしかに芒[のぎ]が曲がっていて、色は緑です[カモジグサの芒は紫]。中から黄色の葯が出ていました。


家に帰る途中の道端に「カモジグサ」を発見!

  • 和名     カモジグサ
  • 学名     Agropyron tsukushiense var. transiens (イネ科カモジグサ属)
  • 類似種    アオカモジグサ
  • 開花時期   5〜7月
  • 自生場所   全国の道端、空き地など
  • 丈      40−100cm
  • 特徴     芒[のぎ]が紫色なので穂全体が紫がかって見える。

穂のアップ。芒[のぎ]が紫っぽい。

穂(花)を分解することによっても、「カモジグサ」と「アオカモジグサ」を見分けるようなのでやってみることに。

  • アオカモジグサ:内花頴[ないかえい](内側にある白い膜状の組織)が外花頴[がいかえい](外側の緑色の組織)よりも明らかに短い。
  • カモジグサ:内花頴と外花頴の長さが同じ。

↓(そうなってた! おもしろ〜い)


採集してから時間がたってしまったので、乾燥牧草みたいになってしまいましたが、プク&モリに味見してもらいました。
葉と茎は美味しそうに食べますが、穂はモリしか食べませんでした。

(穂を食す ロン毛のモリ様)

穂の味は微妙なんでしょうか・・・?確かに、穂には毛がたくさんあって口当たりはあまり良さそうじゃないなぁ。



プク&モリ評価
★★★☆☆(3点:まぁ、まぁかなという食いつきでした)

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