硝酸態窒素について

牧草の種類によって硝酸態窒素濃度(高濃度だと動物にとって良くない)が違っているということをモルモットを飼っていらっしゃる方の「ポジとお散歩」の記事で発見して、えぇ??そうだたっけ??何がどうなってるんだっけ??と思って、色々調べました。

また、滋賀県畜産技術振興センターのページで各牧草に含まれる平均の硝酸態窒素量を表にしてありました。


私が、よく野草であげている以下の植物も表に載っていました。

  • イタリアンライグラス  平均0.02% (範囲0〜0.05%)
  • チモシー        平均0.02% (範囲0.01〜0.03%)

硝酸態窒素量が0.1%未満であれば、どんな場合でも安全だそうです。
一安心だぁ。

硝酸態窒素については、「ポジとお散歩」でちゃぼんさんが詳しく説明していらっしゃるので、私は別の視点から調べてみました。

牧草への窒素の過剰供給は牧草中タンパク質含量の増加とともに、硝酸態窒素の蓄積をもたらす。硝酸態窒素は高濃度だと動物に中毒を起こす。

http://www.agri.pref.hokkaido.jp/sintoku/ecolo/taryouseyou/taryouseyou.htm

ということだそうです。

硝酸態窒素の害は、土壌への過剰な窒素成分の投入がもたらす現象であることから、肥培管理によっては、慣行農法のみならず、有機農法であっても同じ現象がおきる可能性が十分あります。特に有機農法は、施す肥料成分がついつい過剰になってしまう傾向があります。それは有機肥料が少しづつしか効いてこないという特徴があることと、化学肥料を用いる慣行農法が正確な施肥設計のもとに管理されているのに対し、有機農業は肥料や堆肥に入ってる肥料成分の量があいまいなため、施肥設計が難しいことが原因になっています。

http://www.new-agriculture.net/bbs/bbs.php?i=200&c=400&m=201463

たくさん土壌に肥料を与えると、植物が肥料に含まれる窒素成分を吸収して、植物内で動物にとっては有毒な硝酸態窒素を溜めていくということ。

つまり
肥料タップリ土壌で育てられた牧草=硝酸態窒素濃度が高い

傾向にあるということ。


過剰に肥料を与えているような有機栽培された牧草中には硝酸態窒素がたくさん蓄積されてしまうようです。しかし、肥料(特に窒素)を与えると生長も早く、緑が濃くなり、大きく育つので、牧草農家は使わざるを得ないのでしょう。

つまり、「有機栽培で育てた生牧草です」と青々とした牧草が売っているのは、むしろ硝酸態窒素濃度が高い可能性が大だということになるのね。



しかし、研究によると、植物の種類によって、たくさん肥料を与えても硝酸態窒素が高くならないものと、肥料を与えたら与えた分だけ植物体内に硝酸態窒素を溜め込んでしまうものがあるそうです。

オーチャードグラス→多肥にすると硝酸態窒素の蓄積が多い
リードカナリーグラス→多肥条件下でも硝酸態窒素を蓄積せず

http://ss.tnaes.affrc.go.jp/periodical/tayori/old/92/9207.html


こちらの論文では以下の牧草種の硝酸態窒素の蓄積の季節変動と堆肥状態について書かれていました。

  • オーチャードグラス
  • ペレニアルライグラス
  • リードキャナリグラス
  • イタリアンライグラス
  • トールフェスク


つまり、肥料が与えられていないような、空き地や道ばたなんかで繁茂している野良生牧草は硝酸態窒素がほとんど蓄積されてない可能性が高いってことね。



といっても、もともとが肥沃な土地だった場合、窒素がたくさん含まれている可能性も高いので、一概には言えないと思うけど。

とにかく、硝酸態窒素で中毒を起こすような場合、特別な場合なので私はあまり心配していないけど。

いろいろな種類の野草をバランス良く与えるのがいいかなと思いました。

巷では、「有機農法」や「無農薬栽培」を売りにして高値で売っている作物をよく見るけど、それらの栽培法の裏の面はほとんど消費者には分からないようにしてしまっているのは問題だと思う。

私は大学院までずっと、そういうことを学んできたので、「有機農法」や「無農薬栽培」についての裏の顔について、いろいろ言いたいことはあるけど、それはまた今度にしよう。絶対、長くなるから(笑。